薬剤師の年収について一般的にどれくらいが妥当なのか、自分の給料が他と比べて高いのか低いのか気になることはないでしょうか。
そこでこの記事では、薬剤師の勤務先ごとの平均年収と年収アップするための方法について解説します
薬剤師の年収について

まずは薬剤師の平均年収について解説します。
一般的には高収入だと思われがちな薬剤師ですが実際のところはどうでしょうか?
薬剤師の年収はいくら?
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査(※1)」から、薬剤師の年収を状況をまとめました。
性別 | 平均年収 | 平均年齢 |
男女合計 | 約578万円 | 40.3歳 |
男性 | 約623万円 | 41.0歳 |
女性 | 543万円 | 39.7歳 |
国税庁の「4年分民間給与実態統計調査(※2)」によれば日本の給与所得者の平均年収は約458万円です。
それに比べて薬剤師の平均年収は約578万円と日本全体の平均年収より約120万円高くなっており、薬剤師は平均年収が高めの職種と言えます。
性別での年収比較では女性薬剤師に比べて男性薬剤師の方が約80万円ほど平均が高くなっていました。
この差については他業種で見られる傾向と同じで男性に比べ女性の方が結婚・出産・育児などライフプランニングや環境の変化を受けやすいことも影響していると推察されます。
都道府県の年収とは?
次に同じく「令和5年賃金構造基本統計調査(※1)」から、薬剤師の平均年収が高い都道府県をまとめました。
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
1位 | 広島県 | 約706万円 |
2位 | 秋田県 | 約681万円 |
3位 | 宮城県 | 約673万円 |
4位 | 鹿児島県 | 約645万円 |
5位 | 鳥取県 | 約630万円 |
薬剤師の都道府県ごとの年収状況を調べたところ、47都道府県の平均年収は約578万円でした。またそのうち16都道府県が600万円を上回る結果でした。
またいわゆる大都市圏にあたる地域では愛知県で約612万円、大阪府で約607万円、東京都で約589万円となっています。
一般的に地方に比べ都市部の方が平均給与は高くなりがちですが、薬剤師の場合は地方の方が高い傾向があります。
この理由としては薬剤師の人口が多い都市部は比較的人材確保が容易なのに対して地方は薬剤師の人口が少なく人材確保が難しいといった事情が影響しているものと思われます。
業種別の年収を比較
薬剤師の年収は業種によっても差があるためどこで働くかが重要になってきます。
主な業種ごとの年収状況をまとめました。
業種 | 年収 |
調剤薬局 | 約430~650万円 |
ドラッグストア | 約400~650万円 |
病院 | 約400~550万円 |
民間企業 | 約430~700万円 |
薬剤師と一括りに言っても業種によって業務内容は多岐に渡ります。またそれに伴って年収にも大きく差が生まれます。
民間企業の年収が最も高くなっていますが、業績や営業成績などが反映される給与体系の場合が多く、その結果年収が高い傾向になっていると思われます。
病院勤務は年収が低く設定されている傾向はありますが医師や看護師などとの連携で他では得られない知見を得られるので人気の業種となっています。
薬剤師の年収をアップする方法について

薬剤師が年収を増やすために考えられる方法についてポイントや注意点も交えて解説します。
管理職・管理薬剤師への昇進を目指す
年収アップの方法として考えられる方法として1つ目は、管理職を目指すことです。
管理職や管理薬剤師になることで役職手当が支給されるため年収アップが期待できます。
ただし管理職の場合はポストの数が限られていたり、管理薬剤師の場合は薬局での5年以上の実務経験と認定薬剤師の資格が必要であったりと昇進が難しい場合も多くなっています。
資格を取得して専門性を高める
年収アップの方法として考えられる方法として2つ目は、資格取得を目指すことです。
「認定薬剤師」や「専門薬剤師」などの専門資格を取得することで資格手当が支給される場合もあり年収アップが期待できます。
「認定薬剤師」や「専門薬剤師」は難関資格ですが資格取得で専門性を高めることで自身の市場価値も高まるため、資格取得に挑戦するだけの価値はあります。
副業やダブルワークで収入を得る
年収アップの方法として考えられる方法として3つ目は、副業やダブルワークをすることです。
薬剤師は給与が高い傾向にあるので資格を活かすことで、収入アップを期待できます。
ただし、管理薬剤師や公務員として働いている場合は、法律によって副業が禁止されています。また就業規則で副業やダブルワークが禁止されていることもあるため注意が必要です。
給料の高い職場に転職する
年収アップの方法として考えられる方法として4つ目は、給料の高い職場に転職することです。
薬剤師の年収は業種や職場また役職などによっても異なっているため転職によって年収をアップさせることは可能です。
ただし転職はご自身の職歴・経験・実績などによっては年収アップに繋がらない可能性もあるという点に注意が必要です。
独立開業する
年収アップの方法として考えられる方法として5つ目は、独立開業をすることです。
薬局を経営するには経営に関する知識も必要になりますが独立開業で経営が成功すれば年収が大幅にアップする可能性があります。
ただし、成功すれば大きな収入が見込めますが失敗するリスクを伴うため慎重に判断する必要があります。
まとめ
薬剤師の平均年収は総じて日本の給与所得者の平均年収の約458万円より高い水準です。またその給与は業種やエリアで大きく異なっています。
年収をアップさせたい場合は、管理職や資格取得を目指したり、副業や転職といった選択肢も有効です。
この記事を参考にライフプランニングも考えながらご自身にあった年収アップの方法を目指してみてはいかがでしょうか。
出典
※1.令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省
※2.令和4年分民間給与実態統計調査|国税庁